科学的技術が急速に向上している現代、このまま無限に技術革新が進むのでしょうか?そしてこのまま進む技術確信は人間に真の幸福をもたらすことが出来るのでしょうか?
シンギュラリティ(技術的特異点)とは
シンギュラリティとは米国の数学者ヴァーナー・ヴィンジによって最初に広められ、同じく米国のレイモンド・カーツワイルという人工知能研究の権威も提唱さする概念です。
ヴァーナー・ヴィンジは1993年にその著作「The Coming Technological Singularity」において、人工知能は30年以内に人類の知能を超えてしまう日が来るであろうと提言しました。つまり、人類が創り上げた人工知能が、人類の知能を超えてしまう日が来るということです。またレイモンド・カーツワイルは「2029年にAIが人間並みの知能に成長し、さらに2045年には技術的特異点が到来する。」と提唱しました。これが2045年問題といわれるものです。
2045年問題の根拠となっている理論が、「収穫加速の法則」です。
この法則の意味は「技術的進歩においてその成長の軸は、直線的な上昇になるのではなく、指数関数的に向上する」という法則です。一度技術が開発されると、その技術は時間が進むにつれて、倍々計算で発展していくということです。カーツワイル博士は、これによりシンギュラリティが2045年くらいになるだろうと予測したのです。
人間以上の知性を持ったAI「ストロングAI」が出現することによって、人間では到底予測不可能な世界がやってくるかもしれないのです。
シンギュラリティによってもたらされる変化とは
では、シンギュラリティによって我々の生活はどのように変化するのでしょう。最も有力な概念は雇用に関してです。社会の中でこれまで人間が行ってきた労働を全て人工知能がとってかわり、人が働く必要が無くなる時代へ突入するということです。そのことは人と社会の関係を根底から覆すことになるかもしれないのです。つまり人工知能シンギュラリティが起こることによって、人間の存在そのものを変えてしまう可能性があるということです。もしこのまま脳科学も発達し人間の意識とは何かということが解明されれば、その意識をデータ化することによって、他の人間やロボットがそのデータを引き継ぐことが可能となります。そうなれば人間は「死」すらも克服出来ることになるかもしれないのです。この考え方はSF的な考え方ではありますが、そう遠くはない未来予想図として有力な考え方ではあるでしょう。
ビジネスにおけるシンギュラリティ
シンギュラリティが到来することにより、無くなる仕事、残る仕事を考えてみましょう。
無くなる仕事
工場のライン作業
単純なライン作業はAIが最も得意としている作業です。AIであれば休憩時間が必要なく24時間継続が可能となります。こういった作業は人間では不可能なので、最も早い段階で導入されることでしょう。またこういったライン作業の他、運転業務や農作業に関してもAIで代替可能な分野といえます。
事務・経理
オフィスワークでも比較的簡単な処理作業を行う事務や経理などはAIが代替する可能性がとても高い分野といえます。過去のデータをベースに同じ内容の処理を続けることは得意な分野の一つだからです。
弁護士などの士業
弁護士は過去の法律というデータベースに判例というデータを合わせ、それに基づいて適切な判断を下すという業務です。さらに税理士、弁理士、行政書士、医師といわれる国家試験を受けて行うことが出来る業務については人工知能が代替出来る分野として可能性が高いのです。こういった職業は過去の膨大なデータを元に処理する業務ですので人工知能が最も得意としている分野なのです。
人間が必要な仕事
カウンセラー
人とのコミュニケーションを必要とする職業で、少ないデータによって人の悩みを解決することは人工知能にとって不得意な分野です。
クリエイター
未来を作り出す仕事、つまり0から1を創り出す作業は、人工知能にとって最も不得手な分野といえます。
シンギュラリティは現実化するのか?
実際にこの理論が現実化する可能性については、識者によって意見が大きく分かれるのです。来るという意見を支持している有名な識者というとまずは、ホーキング博士が挙げられます。先日お亡くなりになられた博士は宇宙物理学で世界的に有名な博士です。またビジネス界ではビル・ゲイツ氏やイーロン・マスク氏が有名でしょう。彼らはAIビジネスのど真ん中で活躍する人物だけあって説得力があります。
反対に来ないという説を支持する識者として、こちらも人工知能の権威でありますジェリー・カブランがいます。彼は人工知能は人間と同じように考えないという意見を述べています。
シンギュラリティが到来した時私たちに出来ること
来るか来ないか、現段階では明確とはなっていないシンギュラリティ。しかし、世界の歴史が物語るように、人間の進化も初めはゆっくりと何万年も描けたものが、ここ100年で爆発的な成長を遂げたことを考えると、やはり来る可能性を否定できないでしょう。それがいつかはわからないが、自らの働き方を徹底的に見直すきっかけにはなりそうです。
自分の仕事は人工知能にとって変わられやすい職業なのか?
この自問自答の繰り返しが、やがては人工知能では不可能な仕事を生み出すエネルギーとなるはずです。
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