ドイツ銀行倒産危機が実現か?

2019年7月ドイツ銀行が大型リストラへ

ドイツ銀行の危機が叫ばれてはや数年が経ち、2019年の今年になって
ドイツ銀行内部で大きな動きが始まったようです。

7月7日、ドイツ民間銀行最大規模のドイツ銀行が、2022年までに1万8000人、
5人に1人に相当する従業員の大幅リストラを発表しました。
この解雇によって年間コストを60億ユーロ(約7300億円)削減できる見込みだそうです。

ドイツ銀行が破綻すると”リーマンショック級”以上の衝撃が世界中に走るといわれています。
そんなドイツ銀行の今回の行動が、本当に有効な一手となるのでしょうか?

ドイツ銀行問題とCDSについて

そもそもドイツ銀行がなぜ”リーマンショック級”以上の破壊的不況をもたらすのか?
この点を振り返ってみましょう。
冒頭でも述べたように、ドイツ銀行はドイツ最大の民間銀行で世界ランク4位まで登りつめたこともある巨大な銀行です。そのドイツ銀行に倒産危機が叫ばれるようになった理由は、ドイツ銀行が今まで行ってきた投資業務に問題がありました。
ドイツ銀行の足を引っ張っている根本原因として、CDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)を代表とするデリバティブ(金融派生商品)の取扱高が55兆6000億ユーロ(約6,727兆円)にものぼることに起因します。

日本のGDPは約500兆円程度です。また世界最大のGDPを誇るアメリカでは約2000兆円、変わってドイツ銀行単独でのデリバティブ取扱高が、日本のGDPの約14倍、アメリカの約3倍もの金額に達しているのです。
このドイツ銀行のデリバティブ商品は世界中に売られていて、もちろん日本も例外ではありません。
またこのデリバティブ取引が複雑に絡み合っており、ドイツ銀行本体でもその詳細が確認できなくなっているほどです。
さらに恐ろしいことに、リーマン・ブラザーズ破綻時の負債金額は約6000億ドル(約64兆円)という金額でした。その金額で歴史的暴落が起こったのです。ドイツ銀行はリーマン・ブラザーズの100倍以上の負債を抱えていることになるので、世界経済に与えるその影響力は「資本主義経済を崩壊させる」ともいわれています。

ではここでデリバティブとCDSを確認してみましょう。

□デリバティブとは?
★デリバティブは別名”金融派生商品”ともいいます。
もともと金融商品は債権、株式、先物取引等たくさんの種類があります。
そして、それらの金融商品がとるリスクも多岐に渡ります。
デリバティブとはこれら個々の金融商品を少しずつ集め
別の金融商品へとパッケージ化した商品などをさします。
こういった形を取ることによってリスクが
分散するというメリットがあるのです。

★★★

□CDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)とは?
★CDSはクレジット・ディフォルト・スワップの略です。
CDSは保険の一種のようなもので、その保険の対象は国や企業はもちろんのこと、
個人の住宅ローンにまで及びます。例えばある国の債権を買ったとします。
その国が破綻したらその債権価値は無くなります。
そこで定期的に一定の保険料を支払うことで保有している
国の債権分の資産をCDS発行銀行が
肩代わりしてくれるという仕組みになります。

★★★

なぜこれほどまでにCDSを売りまくったのか?

リーマンショックをもたらした原因は魅力的な金融商品です。
その金融商品は金融工学を駆使して生み出されました。
一見するとどの程度安全かどうかが理解できない商品もたくさん出回っております。
そういったジャンクレベルの債権も金融工学を用いて複雑に絡み合わせることによって、
より魅力的な金融商品として生み出すことができるのです。
そしてそういった商品を販売する営業マンに対して数パーセントのボーナスが支給されます。
たかが数パーセントという数字だとしても1兆円の金融商品の3%であれば30億円の臨時ボーナスになるのです。ドイツ銀行はこういった大きな金額となりやすいCDS債を数多く販売してきたのです。

ドイツ銀行の株価が危機的状況まで下がっている!

ドイツ銀行は以前から経営悪化や収益効率の悪さを指摘されてきました。
さらに、ロシアのマネーロンダリングに介入したり、社員の不正など
黒い噂が絶えない銀行でした。
そうした中このドイツ銀行の株価は値を下げ続け、リーマンショック前には1株あたり50ユーロを超え100ユーロを超えている時もありましたが、直近の7月に入ってからは5ユーロ程度まで下落しています。高値圏からみると約1/20程度まで落ち込んでいるのです。

ドイツ銀行の株価が下落した原因とは?

一時は飛ぶ鳥落とす勢いを持っていたドイツ銀行ですが、
なぜここまで凋落したのでしょう。
その理由を確認してみようと思います。

⑴巨額の保険金支払い実績

国の破綻というのはそうそうあるものではありません。
そしてドイツはギリシャのCDS債も大量に発行していました。
そして普通ならありえないギリシアが経済破綻し、
それに伴ってドイツ銀行はその不良債権約50兆円を肩代わりしたとのことです。
またフォルクスワーゲン社債のCDSも発行していたため、
排ガス問題の時にもドイツ銀行がその負債額である
約1兆3000億円の保険料を支払う義務を負いました。

⑵筆頭株主が中国企業にとって変わった

ドイツ銀行の筆頭株主は現在中国の海航集団(HNAグループ)になっています。
2016年にこのグループが全株式の9.9%を取得しました。
筆頭株主が中国系企業になったことで、
ドイツ銀行は中国という国家とも深いつながりができ上がりました。
もちろんこういったつながりをアメリカが黙っているとも思えませんが、
Brexitに伴う欧州の不透明さも相まって、
本国へ集中するという名目で米国から投資部門の撤退も発表しています
これも株価下落の原因になったと言えるでしょう。
またこの筆頭株主である海航集団もついには株式を大量売却したようで、
さらに株価の下落に拍車をかけたようです。

⑶ドイツ銀行発行のCDSレーティングが格下げ

ドイツ銀行が発行するCDSのレーティングが格下げとなりました。
これはレーティング格付け会社のフィッチ・レーティングが行ったランク替えなのですが、
「BBB+」から「BBB」へと格下げになったのです。
ではドイツ銀行以外の大手銀行の格付けはどうなっているか確認して見ましょう。

金融機関名    JPMorgan モルガン・スタンレー MUFG Bank Of America
格付け     A+     A+    A−     A−
この格付けリストはS&P(Standard & Poors)のデータですが、
実は大手金融機関の多くはAクラスとなっているようです。
ドイツ銀号の「BBB」クラスがやばい理由がこういった
他行の格付けからも理解できます。

⑷FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のストレステストで度重なる不合格

FRB理事会は金融機関向けに健全性審査を行っていますが、このドイツ銀行は幾度となく不合格となっていました。
しかし、今年6月の審査においてドイツ銀行の米国投資部門がなんとか念願叶いこのストレステストにかろうじて合格したようです。
この度重なるストレステストの不合格ということが、ドイツ銀行の株価下落の一因にもなっていることは容易に想像がつきます。

数々の不正が発覚

ドイツ銀行はこれまでにロシアが絡むマネーロンダリングに携わったり、リーマンショックの原因ともなった金融商品を不正販売していたりと数々の不正が発覚し、それに対しても莫大な罰則金の支払いを命じられています。こういった不正は米国等の国家にも目をつけられ、非常に厳しい立場に追い込まれているに違いありません。

ドイツ国内第二規模のコメルツ銀行との合併交渉決裂

ドイツ銀行はドイツ国内第二の規模を誇るコメルツ銀行と経営統合の交渉をしていましたが、
今年、とうとう交渉決裂となりました。この交渉に当たっては数年間継続されましたが、労働組合等の反対なども重なり、お互いにとって困難すぎるとの意見で一致したようです。

名門ドイツ銀行のアメリカでの存在感

昼からビール、不在デスクに段ボール箱 ウォール街ドイツ銀行の日常
これは7月2日にbloombergに掲載された一文です。
ドイツ銀行は社員のやる気が失せ、昼から近所のパブなどで飲酒をしていようが、
他の企業へ面接に行こうが上司は見て見ぬ振りをしていることが書かれています。
名門ドイツ銀行へ就職できたあの幸福感は、いまとなってはいつ解雇されるだろうかとの恐怖や不安に押しつぶされそうな社員の気持ちがよく伝わってきます。

ドイツ銀行が破綻した時の影響は?

ドイツ銀行が破綻した場合、リーマンショック以上の影響が世界を襲うとの見方が有力です。
実質的な負債はリーマン・ブラザーズの100倍以上にものぼるのでその破壊力は想像を絶するものだろうと思います。
ではこの激震に備えるにはどうすればいいか確認してみましょう。
株式や債権などの資産を安全資産である金や現在ではデジタルゴールドといわれる
ビットコインへ変えておくことも有効と思われます。
特に米中貿易戦争の激化にともなって、最近ではビットコイン価格が上昇しており、
存在感を大きくしています。
そういった資産へ変えておくことが、資産を守る上で大切になるでしょう。
また安全資産といわれている”円”が大量に買われるようになることが予想されるので、
円高がかなり進行すると予想されます。
そうなると日本の貿易収支は大きく赤字に転落することになるためその点も注意が必要です。

ドイツ本国からの救いの手は?

ドイツ銀行が所有する「今後不良債権化」する資産がとにかく半端ない金額になることが予想されます。ドイツ本国のGDPが年間で約400兆円程度になりますので、ドイツ本国のGDPを約20倍弱上回る不良債権をドイツ本国が抱えることになります。こうなるとさすがにドイツという国さへも破綻することが予想されますし、その影響はやはり世界中を襲うことになることは疑う余地がありません。

中国との蜜月関係にあるドイツ

ドイツという国はもちろん、ドイツ国内の名門企業はことごとく中国と蜜月関係となっています。
中国製自動車の技術は現在「アウディ」が技術指導していることも有名です。
またドイツ銀行の筆頭株主が海航集団といった中国の大手企業になります。
もともとドイツと中国は歴史的にみて国に対する思想が似ていることを指摘されています。
共に大陸的国家として領土の拡大路線を歩もうとする思想です。
その蜜月関係にある中国がいま米国の矛先となっています。
ドイツ企業の多くは中国国内に莫大な投資を行なっています。
この中国が危機的状況を迎えるということは、その影響がダイレクトにドイツに跳ね返ってくることを意味します。ドイツを見る上で中国の状況を併せて見ることが必要なのはいうまでもありません。

ECB(欧州中央銀行理事)総裁を輩出できない

ドイツにとってデフレは最大の危機となります。これほどまでに不良債権を抱えるドイツ銀行にとって、金利が下がるということは負債の消化ができないことを意味します。
だから現総裁のドラギ氏が事あるごとに行おうとする「金融緩和」にドイツはいつも猛反対の立場にたちます。そして7月に次の総裁が決定しました。それはフランスが輩出したラガルド氏です。
そしてこのラガルド氏は前任のドラギ総裁の方針である「金融緩和路線」を引き継いでいくだろうと予測されています。
これまでEUは「ドイツばかりが有利になる」といわれ続けてきましたが、いまとなってはドイツの影響力がかなり低下してしまっています。今回もECB総裁を輩出できないドイツにとって金融不安がさらに大きくかぶさってきていることは周知の事実です。
2019年7月に発表したドイツ銀行の抜本的改造計画。
矢継ぎ早に放たれたこれらの計画は他の有名大手銀行からは「まだ生ぬるい」というような評価も多く出ていますが、破綻の影響を考えれば一刻も早く改善を行なってもらいたいというのが、世界中のビジネスマン共通の願いだと思われます。
現CEOゼービング氏の手腕が問われることになりますので、これからも随時メディアでドイツ銀行の行方を調査することが必要になってくると思います。
また機会があればこういった当サイトでもこういった形でまとめ報告を行いたいと思いますのでご期待ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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