今年の4月から導入される「同一労働同一賃金」の法律は私たちにとってどういった影響があるんだろう。
やはり心配だよな。
ではどういった法律かを確認してみようか。
お願いします。
詳しくは厚生労働省のホームページにも紹介されているが、
「正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現に向けて策定するもの」と謳っている。
バブル崩壊後、日本で大きな広がりを見せている派遣社員を初め、パート、アルバイト従業員といった非正規の雇用体系である人たちは、この日本においては正規社員と比べると、結構大きな待遇格差が存在する。給与はもちろん、賞与や各種手当間でもがかなりの広がりがある。ある意味、正規社員というポジションが一種の特権といえる社会なのかもしれない。
欧米ではすでに導入されている制度って聞いたことがあるんだけど。
そうなんだ。しかし、欧米とは少しニュアンスが違っている。そもそもヨーロッパでは人種差別や性差別を克服するための制度としても導入された。
EU指令といってEUがある目的を達成するために各国に求めている法律のようなもので規定されているんだが、それまでは人種差別や性差別が当然のようにあったヨーロッパ各国が歩調を合わせるようにこういった差別をなくす方向へと舵をとっている。その一環が欧州版同一労働同一賃金だ。
日本はそもそも、ほぼ単一民族で人種差別といったものが存在しない。だから、性差別や採用されたポジションでの差別に根深いものがある。
なるほど。そういった待遇の格差をなくすために導入されるんですね。
うん。建前上はそういうことになっている。
えっ?建前上?
うん。厚生労働省はあくまでガイドラインを定めただけに過ぎない。細かなところまで専門家も含めた中で検討した結果ということを強調しているけど。しかし、そこから先はあくまで裁判で争って欲しいということなんだ。そこで挙げられてくるデータを元にさらにこの制度を進めるということだろう。だから、各企業がどういった対応すべきかといったことは明確になってないんだ。同一の労働には同一の賃金ってだけが先走りしてしまうと、企業による正規従業員の待遇を引き下げることになる危険性も孕んでいる諸刃の剣のような法制度でもある。
ちょっと、怖いわね。企業の収益体質によって解釈が大きく変わってくる可能性があるということよね?
良い方に変わってくれたらいいんですけど・・・。
昨年から嫌な動きをしている企業も多い。実は超大手といわれる企業数社が45才定年制度を導入した。45才といったらこれまでは働き盛りといわれた世代だ。もちろん日本の現行制度であれば解雇はできないんだけど、希望退職者を募っている。昨年といえば企業は利益が大きく伸びていた時期だ。そういった時期にすでに超大手はリストラを断行していたんだ。
この制度を見越してなんですかね?
うん。これだけのためではないだろうけど、超大手といえば、どうしても政界や官僚との繋がりも大きい。これからの日本の行末を見る上でもこういった超大手の動向はウォッチしていく必要があると思うよ。
そっか。では具体的にこの制度はどういった内容なの?
まずは同一の労働であれば当然として報酬は同じでなきゃダメでしょ!っていうことだ。
いわれてみれば当然だけど、日本ではこれまで正規雇用者は特権を持っているといっても過言ではなかった。「うちの会社が続いているのはパートさんのお陰。」などと、馬鹿なことをいう従業員がいる会社もあるくらいだ。しかし、日本の企業はある意味こういった非正規の方の働きでもっているのかもしれない。だから非正規の人から見たらとんでもない社会ということになる。
なろほど。確かにそうね。そういった正規社員はどの会社にもある程度は居るもんね。
だから経営はマネジメント無くして成り立たないんだよ。マネジメントができていなければ新卒で入社してもダメ上司を見ていたら会社なんてこんなものか、と社内営業に勤しむ正規従業員が多くなるのもある意味納得できる。
やはりドラッカー経営って必要なんですね。
うん。話がそれちゃったけど、今世間が心配しているのは、正規雇用従業員の待遇が引き下げられるかも?ってところなんだ。「正社員はオワコン」などと煽るような動画も多い。確かにこれまで日本は世界で他の先進国と比べて極端に生産性が低かった。オーストラリアと比べてだと約半分だ。そういった点から見るとこの制度が導入されると正社員はオワコンかもしれない。だって、同一の労働条件であれば報酬や手当が同一になってしまうんだから。だから正社員としての自覚が問われるんだ。今は知識社会の時代なんだ。全従業員、特に正規雇用社従業員は学び続けなければ生きていけない時代なんだ。ドラッカーはこう言っている。「組織に優劣があるのではない。学んでいるかそうでないかに優劣がある。」ってね。
組織を創るのはそれぞれの従業員なんだ。
ある意味これまでの日本社会は共産主義的な社会だったのかもしれない。正規従業員という特権階級が幅をきかせてきた社会だ。それをこの法律がぶち壊そうとしているような気がするんだ。学び続けなければ進歩もないということを、痛いくらい気づかせてくれる社会が到来するかもしれないんだ。
いわゆる本当の競争社会が到来するんですかね?
オチオチしてられないよね。
だな。現代社会は急速な勢いで進歩している。だから常に情報はアップデートしなきゃついていけなだろ?
学び続けるってことは何もMBAを取得すべきだとか、大学に戻って学び直せっていうことではないんだ。学ぶことはどこでもできる。
なんだか学ぶことが身近に感じれるような気がする。
そうだ。この法律が導入されることによってどうなるかは各自の捉え方と今後の行動次第でどうにでもなる。
リストラされないように、またリストラされても生きていけるだけの力を常に模索していかなくてはならない。
だからドラッカーがいう時間管理がとても重要だ。
同一労働同一賃金ってなんだか怖いイメージがつきまとってきたけど、今はなんだか勇気が湧いてきたわ。
自分を見失わないよう常に準備しておかなきゃって。
ですね。私も甘えないで学び続けるよう頑張ります!
ああ。君たちにしかできない労働を会社に提供するのであれば、同一なるものが存在しない。だから報酬はユニークなものとなる。そんな卓越した存在を目指すべきだね。
うん。ドラッカーを学びながら自分をアップデートしていくわ。
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