第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。(出来高払制の保障給)
労働基準法第二十六条
業績悪化に伴って一時帰休制度を利用する企業が増加傾向にあります。この入り次帰休というものはどのようなものなのでしょうか。
一時帰休とは?
一時帰休とは、企業の業績悪化や経済環境の極端な落ち込みにより仕事量が減ったときに、従業員を一時的に休業させることをいいます。
前述した労働基準法第二十六条でこの制度は認められていますが、その条件として使用者は休業中の従業員に100分の60以上、つまり6割以上の給料を支払わなければなりません。
一時帰休制度を利用することで、その企業の経営状態が非常に厳しいということが世間に知られることになるため、印象はよくないのですが、リストラや賃金カットを防ぐための前段階の対応策として近年では利用されることが多くなりました。
また一時帰休対象者への賃金については、労働基準法の範囲内であれば企業が自由に決めることができるのです。
一時解雇(レイオフ)とは?
一時帰休と似ている言葉に一時解雇(レイオフ)があります。これは一定の期間終了後再雇用が前提となっています。この制度が利用される主な目的として、工場などの製造業において材料の仕入れが遅れることによりラインが止まってしまうような状態となったときに使用されることが多い制度です。欧米ではよく利用される制度ですが、労働者の権利が強い日本においては馴染にくい制度とも言えます。ちなみにその解雇期間の賃金は支払われることはありません。またこの一時解雇は完全な解雇とも異なるために違いを認識しておく必要もあります。
一時帰休制度を利用した企業
令和二年初頭から始まった世界的な経済環境の急激な悪化に伴い、日本国内でもこの一時帰休制度を利用する企業が続出しています。
日産やマツダ、三菱自動車などの自動車メーカーをはじめ、日本製鐵やJR北海道など、数々の大企業がこの制度を発表しています。
このような一時帰休制度を大々的に取り入れるということは、自宅待機者の数が尋常ではないということを物語っているのです。
助成金制度を利用する企業
今回の世界を覆う事態に伴い、政府が4月1日から6月30日までの間に条件を満たした企業に対して緊急対応として助成金支払うことになります。
こういった制度は法務部がしっかりした大企業であれば対応しやすいが、法務的知識に乏しい中小においては難しいといそうです。
そんな企業に対しても相談窓口が開かれたいるので、最寄りの相談窓口に伺うことが最も確実な対策となります。
今回の助成金制度は緊急対応としての特例です。
起業としての生産指数要件が1か月で5%以上低下することが条件となっています。さらに雇用保険被保険者でない労働者の休業も対象となるなど、手当の範囲が拡充されています。
また通常であれば事業計画を事前に提出する必要がありますが、今回の特例では事後の提出が認められるという形も取っています。
とにかく事業者であれば早急にこの制度を利用すべきでしょう。
一時帰休で待機中にスキルアップを図る
こういった一時帰休時対象者となった人たちは、これまで平日に自宅で待機する経験がほとんどないために何をすればいいか途方に暮れる人も多いでしょう。
例えばネットフリックスやAmazonプライムビデオなどを視聴して一日を何となく過ごす人も多いのではないでしょうか?
しかし、この一時帰休時は学生時代の夏休みのようなものと同じく、大きな個人差がつく時でもあるのです。
この貴重な時間を学習に充てる人もいるでしょうし、副業を始める人もいるでしょう。またFXなどの投資を始める人もいるに違いありません。
そんな自宅でお小遣い程度の金銭を稼ぐ力をつけるということは、そのスキルがさらに向上することにより自力で食べていける力となるのです。
一日24時間をどのように使うかで、5年後の自分自身がどのようになっているか?リアリティをもって想像してみてはいかがでしょうか?
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