仕事を進めるうえで、多くのことを同時進行でこなさないといけないような気がして、何から始めればいいかよくわからない時があるのよ。
何事も同時進行で進める必要なんてないよ。仕事は常に優先順位を決めなくてはならない。その優先順位を決めることについて、ドラッカーは原則を示してくれている。
えっ?どういった原則なの?
うん。いいかい?ドラッカーはこの原則について、全て分析ではなく勇気に関わる問題だと念を押しているが、
第一に、過去ではなく未来を選ぶこと。
第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせること。
第三に、横並びではなく独自性を持つこと。
第四に、無難で容易なものではなく、変革をもたらすものを選ぶこと。
この四つを挙げているんだ。
ドラッカーは変革こそがチャンスだと説く。
だから容易に成功しそうなものばかり挑戦していては、大きな成果が挙げられないことを教えてくれる。挑戦するなら自らの名を冠した物理法則や新たなコンセプトを生み出すような覚悟が必要だといっている。
大きな目標に向かって進むべきなんですね。
そうだ。しかし、実は優先順位を決めることはそれほど難しくはないんだ。重要なことの大切さは意識しなくともたいていの人は理解している。本当に難しく大切なことは劣後順位の決定だとドラッカーはいっている。なすべきでないことを決定することだ。決定の延期はある意味、放棄することにも等しい。一度遅延させたものを復活させることは失敗につながることが多いんだ。だから劣後順位の決定を躊躇わせることとなるんだよ。
また、前任者や自らが昨日までに行った意思決定のために、今日、時間とエネルギーと頭を使う必要があるんだ。こういった種類の仕事が1日の半分以上の時間を占めることとなる。だからそれらのもののうち、成果を期待できなくなったものを捨てることによって、過去への囚われを減らすべきだとドラッカーは教えている。
そうなのね。常に未来志向なのね。
完全に失敗したことは容易に捨てることができる。自然に消滅するんだ。しかし、昨日までの成功は、それが非生産的になったとしても生き続けることがある。また、もっと危険だとドラッカーがいっていることは、本来うまくいくべきでありながら、なぜか成果が上がらないまま続けている仕事だということだ。そういった仕事は本来キッパリと捨てるべきなんだ。
仕事にも断捨離が必要なのね。そう考えると、捨てることができない人はリーダーとはなり得ないような気がする。捨てることも意思決定の一つだもんね。
そうなんだ。よくオフィスが使わないガラクタで埋まっているような会社はブラック企業となりやすい。そこに居るリーダーは、妥協とセールスマンシップに支配された人といったことが多いからね。だからゴミといった物理的に存在するものの定期的な廃棄は企業にとっても必要なことなんだ。
古いものの計画的な廃棄こそ、新しいものを強力に押し進める唯一の方法だとドラッカーは教えている。
廃棄に想像力なんてものは必要ない。
今使わないものはキッパリ捨てるべきなんだ。
アイデアが不足している組織はない。想像力も問題とはならないとドラッカーはいっている。
ただ、せっかくのアイデアを実現すべく仕事をしている組織が少ないことが問題なのだと指摘する。
多くの組織は昨日の仕事に追われて忙しすぎるとドラッカーは嘆く。
成果を上げるためには常に、計画や進めている仕事をチェックする必要があるってことよね。そして不要なものは潔く廃棄する。それが例え成功したことであっても。
そうだ。ドラッカーが言わんとしていることが解り出してきたようだね。
さらに集中するほど、多くのことが可能となることが理解できると思う。このことこそ、困難であるように思われる仕事をいくつもこなす人の秘訣といえるのだと、ドラッカーはいっている。同時進行は必要ない。一時に一つの仕事に集中する。だから他の人たちよりも少ない時間しか必要としないということになる。そう考えると成果を挙げられない人の方が多くの時間を費やしていることも理解できるだろう?
そうよね。この日本の生産性が上がらない理由もこういったことの積み重ねかもしれないわね。ドラッカーの言葉って本当に一貫性があって全てがつながっていることに改めて驚きを感じるわ。
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