激しい新規参入
IT技術の急成長を受けて近年金融業界の地図が塗り替えられようとしています。これまでの金融決済における銀行、クレジット関連企業の存在意義はとてつもなく大きなものでした。しかし、近年IT産業の急激な成長において「お金」というものの存在価値が「情報」の一部に変りつつあります。ここであることが起こります。お金が「情報」なのだったら情報産業が得意な分野ではないかということで、いま大手IT産業の金融ビジネスへの参入が激しくなっています。
IT産業の急成長
インターネットの普及とともにIT産業が小売りや音楽産業を塗り替えてきました。そして近年その矛先が金融決済業務へと向き始めています。
例えば楽天ペイやアップルペイ等の決済業務です。これまで現金での支払いが多かったコンビニ等の小売店でこういった支払いアプリでのスマホ決済が急成長しています。そしてポイントを付与し、そのポイントの利用で割引サービスが受けられるのですが、あまりにも利用範囲が大きくなっているため、一種の独自通貨的な存在ともなりつつあります。そんな流れのなか、Facebook先日が発表した「仮想通貨リブラ」です。
リブラを阻止しようとする金融業界
大手IT産業が手掛ける仮想通貨ということで、技術的には最先端であることには間違いなさそうです。しかし、これまで金融決済の分野は金融機関の牙城ともいえる部分でした。金融機関にとって、こういった決済業務での手数料は莫大な金額に上るのです。
その大切な「打ち出の小づち」である決済業務をいまIT産業が奪い取ろうとしています。挙句にドルと連動した価値を持つ仮想通貨を発行されるとなると、金融機関の存在意義が問われます。そういった中、アメリカでは一部の議員が「リブラ」の発行を阻止しようと躍起になっています。また世界的に見ても称賛も多いが批判も相当数存在します。
金融業界の無人化が進む
金融業界では人件費の削減がずっと続いてきました。そうなんです。この業界はIT産業の成長に伴って「解雇」が続いてきたのです。例えば投資運用会社のトレードは現在ほぼAIが担当しているセクションが多いため昔のように人間のトレーダーが必要なくなったといいます。これらAIにとって代わられたトレーダーたちはどうなったかというと、現在メディアで相場予想などをすることを生業としているようです。
もともと金融業界の人たちは優秀な頭脳の持ち主が多いようなので個人プレーも可能なのでしょう。
金融業界の未来
近い将来、金融関連企業は大手IT企業にとって代わられるでしょう。しかも今後金融機関とIT機関の垣根がかなり低くなることが予測されます。さらにいえば流通と運輸などもこれらの企業群に飲み込まれていくと思います。
ただ金融に関してはやはり「マネーロンダリング」の問題が大きく口を開いています。
各国政府は税金を徴収することが最重要課題です。その徴税システムに漏れがあってはIT産業の金融産業化が鈍ってしまいます。しかし、世界が融合していくことは免れません。世界の融合とは既得権益の破壊の後に訪れる新しい社会です。現在は第四次産業革命の真っただ中にあります。これまでの歴代の産業革命以上のインパクトがあるといわれています。そういった歴史的転換期において、第一次産業革命から世界をけん引してきた金融業界がそろそろお役目を終えようとしているのかもしれません。そんな急変する世界史的現象がいま目の前に起こりつつあるかもしれないのです。
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