米国新規失業保険申請者数が大幅増加
3月15日から21日にわたる米国新規失業率保険申請件数が大幅に増加した。数値では328万件となり、これは前回から見ても桁外れだ。
雇用という指標は経済指標でも最も重要であり、雇用を促すためにあれこれと施策を講じるのが国家の使命ともいえる現代において、これまでトランプ政策によって好況が続き、さらに史上最低の失業者数を更新してきた米国経済に急ブレーキがかけられたといってよい。
経済活動の自粛ムードが不安を煽る
米国では主要な州が続けて外出禁止令を発布するといった事態となっている。そして全米でも圧倒的に感染者が爆発中なのがニューヨーク州ということもあり、コロナショックが米国経済の心臓部を直撃したともいえる。
またニューヨーク州知事であるアンドリュー・クオモ氏が人工呼吸器について政府に対して厳しい批判をしたことによってさらに不安が広がっている。
彼の発言内容は
「ニューヨークで必要な呼吸器は3万台だが、政府が送ってきた台数はわずか400台。政府は何をしているのだ?」
といった批判だった。
しかし、トランプ大統領は彼の過去の対応について厳しく批判した。
2015年にニューヨーク州で同じように感染症が流行った時、政府から1万6000台の呼吸器を購入するようアドバイスされた時に州は却下したことがあるのだった。
政治家という人種は時に自分の過去の態度を忘れたような振る舞いをしがちだ。特に人気商売となりつつある政治家という職業であればその傾向は顕著だといえよう。
されどFRBによる量的緩和が下支え
経済という活動は、資金が滞りなく流れることが可能であるのであれば不況は起こらない、ということが歴史の事実だ。
これまでの歴史を振り返ってみると恐慌が発生する原因は金融引き締めが原因だった、ということがよくわかる。
現在、世界中の中央銀行が行おうとしていることは、市場に大量の資金を投下するということだ。そうすることによって、カネの価値は下がり、人々の経済活動は消費へと向かいやすくなる。
そんな経済政策が影響してか、3月26日のダウ平均は大幅に上昇した。さらにそれを受けて翌日の日経平均も上昇相場となっていることからも、各国政府の政策は今のところ正解だったといえる。
イースターに再開しようとする米国
トランプ大統領は決断している。
イースター(復活祭)には米国経済の再開を発表したのだ。
人々のセンチメントを考えれば、感傷的な気分となりやすいこういった恐慌の恐れがある市場に対して、トランプ氏のこういった発言は批判されやすい傾向にある。
被害者意識を募らせがちな市民たちは「命よりカネをとる大統領」というレッテルを貼りがちなのだ。
しかし、トランプ氏はその先を見通している。
経済の死は国民の死に直結するということを。
経済活動が止まってしまうと、真っ先に影響を受けてしまうセクターは中小企業だろう。
しかも、どの国においても中小企業で従事している国民は多数を占める。そのマジョリティーが無職となることは、長期にわたる経済の死を意味するということだろう。中小企業が連鎖倒産した時は自殺者数も飛躍的に増えることも想定される。
そう考えると、経済の死は現代において最も恐ろしい病だともいえる。
市場は楽観的
株式市場が上昇しているということは、経済環境には致命傷は受けていないということを意味するのだろう。
しかし、この自粛ムードが長期化すればするほど、経済的損失が膨らむことは当然だ。このことは東北大震災時における日本国内に広がった自粛ムードによるその後の経済活動の急激な落ち込みを思い出してみてもよくわかる。
米国大統領と米国政府の真剣勝負に、市場は安心している面も大きいのだろうということが、暴落が止まり上昇しつつある値動きから読み取れる。
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