Facebookが仮想通貨を発行
まさかのFacebookがとうとう仮想通貨への参入を発表しました。さらに今回は独自の仮想通貨である”リブラ”というコインを発行するという発表をしました。
リブラの位置付け
Facebookが発行しようとしているリブラという仮想通貨ですが、各国のFiat currency(法定通貨)との交換比率を一定に維持する”ステーブルコイン”として発足するようです。ステーブルコインは現在までに多数発行されているが、ほとんどがドルに対する裏づけなど、単一の資産によって裏付けられている程度でしたが、このリブラは国債や銀行預金など、もともとボラティリティの低い金融商品などで裏付けられるため信頼性はかなり高くなりそうです。
リブラという仮想通貨の特徴
リブラにとっての価値の維持について「ホワイトペーパー」に7つのキーワードが解説されています。投資家たちは私募で参加してリターンとしてリブラで受け取ることになります。
1)リブラの資金源
リブラは他の投資資金及びリブラへ投資された投資家たちの資金から成り立ちます。投資家たちがリブラを購入すれば同量の”リブラ”が生成されます。法定通貨も同様にリブラの保全に利用されます。
2)準備金の投資先
準備金はまず長期にわたって利子を生み出す低リスクの金融商品へ投資されます。その投資が生み出した利子収入を非営利組織や多国籍間組織、また工学研究等のリブラ発展のために使われるようです。そして残りの利子収入についてはリブラへの投資家たちに配当されます。
3)取引相手のリスクを軽減するために
リブラ準備金は投資適格の信用基準をクリアした分散型ネットワークによって保全されます。この分散型ネットワークには適格基準があり高い監査能力と透明性、そして集中型リスクを避け、運用効率を達成することです。
4)リブラの信用を裏付けるもの
リブラの信用は銀行預金や短期国債のような低リスク資産の運用などで裏付けされています。リブラコインの高い資本価値を維持するために、リブラ協会は不渡り確立がかなり低い政府債務に投資します。リブラコインの高い流動性を確保するためにリブラ協会は一日あたり莫大な金額が動く短期政府債務市場での投資を計画しています。これにより流通量に合わせてリブラの準備額も変更することが可能となります。
5)実際の取引はどのように準備金と関係するのか?
リブラ協会によって認可された事業者のみがリブラの売買にかかわることが可能です。リブラに設定されている金融政策は今のところ存在しません。リブラ協会は市場をチェックしながら認可を与えた売買事業者の要求によりリブラの流通量をコントロールします。認可を与えた事業者と常に意見を交換しながら市場の流通量をコントロールするのです。だからリブラ相場の変動は為替市場とほぼ連動すると予想されます。l
6)リブラコインを用いて消費者をほごするには?
リブラネットワークの創設初期段階において、高い水準で消費者保護をしながら技術革新を進めていきます。悪意のある者による行動を抑えるため、創業メンバーと協会は主要なエンドポイント(交換時、ユーザー保管時)等において適用される法令を遵守し法執行機関と協力していきます。リブラブロックチェーンの取引元帳で第三者機関からの監視等開かれた運用をします。
7)準備金は時間とともにどうなるか?
激しい為替市場で、利用者の保有するリブラコインは、基準となる準備金を上回ったり下回ったりと、狭いスプレッドで法定通貨と交換することが可能となります。ある特定の地域で重大な経済危機が発生した際にはリブラ協会はリブラコインの根本攻勢を変更する可能性が存在します。そういった変更が発生するときは、相当例外的な事態です。
リブラの未来
ブロックチェーンという技術はこれからの未来を大きく変更していく可能性を秘めた技術です。世間ではいまだに単なる賭博的イメージで見られているかもしれません。しかしMicrosoftやJPモルガンがイーサリアムの開発に参画しているという事実や、このリブラコインの参加者であるVISA、Masterカード、そしてPayPalやeBay等超大手の企業がこぞって参加しています。現在の基軸通貨がドルであり、世界中の決済の大半は米ドルが利用されています。そういった中でのこのリブラコインの出現は世界に大きなインパクトをもたらしました。仮想通貨を利用することでインフレ傾向が高い新興国の国民にとっても非常に恵みをもたらすでしょう。また数学的裏付け以外、特に信用性が無いビットコインと比べてみてもステーブルコインとして発足するこのリブラコインの重要性はかなり大きなものとなります。
かつてノーベル経済学賞を受賞したフリードリッヒ・ハイエクは複数の私的通貨の共存がインフレを抑えるということを訴えました。現在まで貨幣といえば政府の信用が裏付けられたものという定義で経済活動が進んできましたが、これからの世の中はそういった信用に関しても大きな変革が訪れそうです。
この記事へのコメントはありません。