年金は大丈夫なのか?
金融庁が公表した資産形成に関する報告書に波紋が広がっています。正規版に先立って報告された報告書案によれば、「30年間で2000万円が必要」「公的年金だけでは生活水準は低下」「自助努力が必要」などというような文言が盛り込まれていました。それを受けて多方面から「政府は無責任だ!」という批判が高まりました。
慌てた政府の対応
世間の反応に慌てた金融庁は正規版の報告書では年金減額に関する記述は一部に変更を加えましたが(2000万円は削除せず)麻生大臣は担当大臣でありながら国民に誤解と不安を与えるとしてこの報告書を受理しないという前代未聞の事態となりました。
2000万円不足の根拠
先の報告書では高齢夫婦で無職の世帯では月額約26万円の支出があるとの前提で試算されています。その世帯において年金収入として月額約21万円が支給されています。単純な引き算で月額5万円の赤字になり、年金生活を始めて30年経った頃には約2000万円の不足になるということです。
いまの現役世代には年金への期待感は無い?
この報告書が発表されてから、「いままで不安を感じていたが実際に報告書で確認すると大きなショックを受けてしまった。」というような人たちはデモに参加したりと、社会不安は大きくなりました。しかし一方では現役世代にとってもともと年金に対する期待感があまりなかったということもあり、無関心を装う人も少なくありません。特に今まで年金制度が都度修正され現在の年金方式が自分が積み立てた金額を年金として支給してもらうという制度ではなく、現役世代から徴収したお金をそのまま、いまの年金として支給するという賦課方式がとられていることを知っている人たちはこれからの人口減少によって変動することは理解しています。
年金はいくら減額されるのか?
年金支給額に対する見通しを示す指標となるのが、5年に一度行われる「財政検証」といわれる資産です。物価・賃金等の上昇によっていくつかのケースを想定しながら、もっとも安心できるプランを構築しようとする試みです。前回のこの試算が行われたのが2014年でした。そして今年2019年は前回からちょうど5年が経とうとしているのです。当時の年金支給額は所得水準の約62%が支給額として計上されていました(所得代替率)。現在の年金資産方式はマクロ経済スライド方式という方法がとられているため、経済成長率なども勘案されるため支給額は抑制され続け2043年には現役所得水準の50%程度まで落ち込んでしまう可能性があります。いまのところ50%を下回らないといの前提で議論が進められていますが、数字で示される日本の将来は老人にとって楽園とは程遠い世界となりそうです。
今後の日本人が意識すべきこと
これからも年金に対する議論及び検証を続けることはとても大切なことですし、進めなければならない最重要課題の一つでしょう。しかし、これからの現役世代にとっていつまでも政府に対して「おんぶにだっこ」のような心構えでは、実際に定年退職したあと悲惨な目にあうことになりそうです。そこでとても大切なことは現在の生活で無駄を徹底的に省いて少しでも貯蓄に回す工夫が必要です。普段の生活のなかで例えば携帯代などの通信費であったり、電気ガス等の公共料金の節約であったり、普段から意識しているようで意外と無駄が潜んでいることも多いのです。また、少しでも余力があるのであれば投資信託などの比較的安全な投資をから始めることもいいでしょう。慣れてくればいまはやりのFXであったり仮想通貨取引も魅力的です。しかし、投資はあくまでも自己責任で行うことが絶対条件であるためこれらを始めようとするならやはり普段からのリサーチはとても大切なことなのです。逆にいえば投資を始めることによって「金融リテラシー」が向上するため、自分自身で資金を運用することの大切さが理解できるということもいえそうです。
やはりこれから末永く生きていくためにはすべて他人任せという考え方は捨て去り、自分のことはある程度自分で何とかするということが求められそうです。
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