ドラッカー経営

どのようなリーダーが本物のリーダーなのか?

企業に勤めていくうえで、周囲の仲間や上司・部下との関係性は非常に大切であることは疑いの余地がありません。だから企業人が常に悩むことが人間関係についてでしょう。特に理想の上司・部下の関係性はどのようなものなのかということは、多くの人たちの関心ごとに違いありません。

ではどのような上司・部下の関係性が理想的と言えるのでしょうか?以下でその点について考えてみたいと思います。

親や教師のようなフォロワー的存在が理想なのか?

今日の日本社会においてもそうですが、世界的に見てもハラスメントの問題は集団生活において重要な関心ごとであることは疑う余地がありません。

自己顕示欲の強い上司が部下をこき使い、言葉の暴力などで部下を恐怖によって縛り付けるという企業は現代では間違いなく「ブラック企業」の認定を受けることになるのです。

そのため最近の企業ではこういった社会の流れのせいなのか、優しい上司が理想とされています。部下とともに悩み、部下の問題を共に解決し、部下の成長を陰に陽にと支え続ける「縁の下の力持ち」的な素晴らしい上司像。

しかし、こういったスーパーマンのような上司は多く存在するのでしょうか?また、部下たちも将来、そういったきめ細かな上司に自らがなりたいと心底熱望しているのでしょうか?答えは「否」でしょう。

まずこのような理想を抱く部下たちは上司という存在を「親・教師」のようなものとして思い描いている節があります。そもそもそのような誰からも愛されるスーパーマンのような人が、多くの企業において存在していることは考えにくいのです。そもそもそういった存在が独立起業し、その会社を大きくしていくのでしょう。

ということはそのような存在に触れたいのであれば、自分自身が大きく成長し、そういった経営者の側近的存在にならなければ、近づくことすらままならないというのが現状なのです。

さらに、そういったスーパーマン的上司が突然そのポジションからいなくなれば、どうなるでしょう?残された人たちは頼りとする支えがなくなってしまい路頭に迷うことも考えられます。

ここでこう反論したくなるかもしれません。

「これまで、理想的上司に育ててもらったから自分たちも相当成長しているはずだ。」と。

しかしどうでしょう?人が成長しようとするためには数々の試練が必要なのです。もしその上司が、試練を与える上司なのであれば、その時点でかなりの確率で「理想の上司」から脱落してしまうのが、現在の日本の社会環境とも言えます。多くの企業において国際競争力が失われてきたことを見ても明らかでしょう。

実際の理想の上司はどのような存在なのか?

ここで世界的な企業リーダーとなった人たちの逸話をご紹介します。

初めにApple社の創業者であるスティーブ・ジョブズ氏。まず彼は一般の方々が考えている優秀な理想的上司とは真逆の存在であったことは有名です。暴言・パワハラは日常茶飯事で、自らの信念に沿わなければ、即時「解雇」も厭いませんでした。しかし、彼は現在最高峰の経営者の一人として語り継がれています。

またマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏。彼は非常な読書家で、元日本マイクロソフトの社長であった方の著書で彼の気性が紹介されていたのですが、面談するたびに「いま、何を読んでいる?」と聞かれるらしく、即座に答えることができなければ、多分解雇されていただろうと語る場面があります。

こういった世界的経営者・リーダーには共通する点が存在します。

それは「優れた経営ビジョンを皆と共有する。」ということです。

真のリーダーとは?

では「真のリーダー」とはどういった存在なのでしょう。

その点を、経営の神様といわれるP.F.ドラッカー氏はこう指摘しています。

リーダーシップとは人を引きつけることではない。
そのようなものは煽動的資質にすぎない。
仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。
そのようなものはセールスマンシップにすぎない。

                 P.F.ドラッカー

皆さんが理想としている「リーダー像」はこういったものではないでしょうか?しかし、ドラッカーはこういった資質を真っ向から否定しているのです。

さらにこう語っています。

リーダーシップとは、人の視線を高め、成果の基準を上げ、通常の制約を超えさせるものである。リーダーシップの素地のとして、行動と責任についての厳格な原則、高い成果の基準、人と仕事に対する敬意を、日常の仕事において確認するという組織の文化に勝るものはない。

                 P.F.ドラッカー    

優しいだけががリーダーではないことが、この言葉から気付くことでしょう。

しかし、現代において多くのリーダー像が、初めに語ったような、親御さん的存在のように例えられていることは、単に大衆受けを狙って発信されているとしか考えられなくもありません。

優しい上司は好きでしょう。少々サボっても、少々へまをやらかしても多めに見てくれる上司は大好きでしょう。

しかし、そういった上司は組織を破壊しかねない存在であることもまた真なのです。

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