日本型雇用は完全撤廃へ
戦後からずっと続いてきた日本型雇用といえば、終身雇用・年功序列です。大学を卒業すれば、とにかく少しでもいい会社に就職すればとりあえず定年までは安泰であった社会制度ともいえます。
バブル崩壊後からは「終身雇用・年功序列制度が廃止になるぞ!」などと巷ではいわれていましたが、実際には終身雇用・年功序列の社会にどっぷりつかっていた団塊世代やその数年後輩たちが会社組織の中核的存在であった平成の時代までは、その制度はゾンビのように生きながらえてきました。
しかし、団塊世代の定年退職が加速し、その後輩たちも立て続けに退職しようとしている令和になり、社会は根底から変化を始めようとしています。これまで会社が面倒を見なければならないと考えられていた世代等がいなくなることで、会社としても本気で終身雇用・年功序列を廃止する方向へと一気に舵を切り出しました。
トヨタと経団連が発表した事実
2017年にトヨタと経団連会長はすでにこの制度では企業が持たない旨の発表をしています。
「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることには限界がきている。外部環境の変化に伴い、就職した時点と同じ事業がずっと継続するとは考えにくい。働き手がこれまで従事していた仕事がなくなるという現実に直面している。
そこで、経営層も従業員も、職種転換に取り組み、社内外での活躍の場を模索して就労の継続に努めている。利益が上がらない事業で無理に雇用維持することは、従業員にとっても不幸であり、早く踏ん切りをつけて、今とは違うビジネスに挑戦することが重要である」(5月7日定例記者会見、経団連発表)。
さらに今年の1月には、経団連副会長が以下のような発表をしています。
経団連は21日、2020年春闘で経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)を発表した。賃上げは「前向きに検討する」ことを基本とした。基本給を底上げする「ベースアップ(ベア)は選択肢」と容認しつつも、勤続年数に応じた一律ではなく、成果や職務、若手や中堅への重点配分など多様な方法を求めた。
出典: www.sankeibiz.jp
これらが意味するところは2017年委経団連会長が発表した社会へ向けたメッセージをさらに3年後である今年において、現実に実行するとの意思表示の表われといえます。ただ、いきなり廃止という感じではなく現段階においても、まずはベアアップに関しては評価給という流れのステップを踏みながらといった運用方針が見て取れます。
影響力のある団塊世代のリタイヤによって社会制度が変わる
現在の日本の生産性の低さは、そもそも中年以上の年齢層におけるネットリテラシーの無さが大きな原因の一つです。ビジネスでのコミュニケーションでは、いまだに電話とFAXが活躍し、会議を催すときは場所を段取りして現実に皆が顔を合わせての会議が行われます。
人件費の削減といいながら、使用している紙の量が半端ないほどの量になり、それをゴミとして日々オフィスから排出される。つまりいたるところに昭和の香りがプンプンしている企業は大半です。
それでは、いまの中年以上の人材にネットリテラシーを高めるように依頼したところで、本人たちがアジアで最も学ばないと諸外国からいわれている人たちなので、当然として一切学ぼうとしないのが現実です。
ただ、これまで社会で大きな影響力を持っていた団塊世代とその後輩たちは徐々に年金生活へと変わり、現役世代で力ある中年層が激減したのです。
待ってました!といわんばかりの経団連の仕打ちは、就職する年齢になったときにはバブル崩壊後の就職氷河期に直面し人生であまりいい思いをしてこなかった「団塊ジュニア」の世代に向かいます。
生涯冷や飯を食う羽目になる団塊ジュニア
団塊ジュニアというのは見方によれば、本当に恵まれない世代といえます。
人生において親である団塊世代からは「いい会社、国家公務員になれば生涯が安泰だ!」という言葉を本気で信じ、就職を迎える年にはバブルが崩壊し、そして就職難の嵐が吹き荒れていたのです。さらにそれを何とか乗り越えた先に令和の終身雇用制度崩壊に直面しているのです。
しかし、彼らのなかでどれだけの人が気付いているのでしょう?社会制度の大きな変化を敏感に感じ取っているのなら、週末に同僚と飲んで帰宅することなど無くなると思われます。意識が高い人たちはYouTubeなどで時事問題を学ぶことによりこれからの備えに動き出しているでしょうが、テレビや漫画が主な娯楽というような人は全く気付いていないのです。
急速に変化する社会の犠牲者にならないために
いまこの令和の社会を俯瞰して眺める中で、「これまでとは少し違うぞ!」と思えることができたならラッキーな人といえます。早速何か新しいスキルを絶対に手に入れなければならないこれからの時代の到来に備え、即行動すべきなのです。
急に「君、うちも希望退職を募ってるんだが、君もどうかね?」といわれたときにショックで病気になるのか、普通より割り増し割れた退職金を受け取って起業などのアクションを起こすかは、いまこの瞬間のあなたの施行と行動がその時の決断できるかできないかの原因となるのです。
どんな社会になろうとも一人で生きていけるスキルを身に着けるために、メンバーシップ型雇用のぬるま湯から抜け出し、ジョブ型のスキルを身に着けるためにすぐに行動することが必要なのは明白でしょう。
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